NEXT
杯OQM2006シリーズの第3戦です。“美ヶ原高原”・・・懐かしい響きです。日本一のイベントといわれた1971年と72年の「PMCSラリークリサ
ンテーモ」は3ステージ制で、その第2ステージ終盤のクライマックスの舞台となった所で、コース作成に、そして当日の先行車として何回も走り回ったのだっ
た。因みに第3ステージは今はなきダートの浅間サーキットで7kmのタイムトライアルであった。三菱チームの篠塚建次郎が総合優勝で連覇したのだ。
鹿教湯温泉から上る南角林道や保福寺峠から
の蝶ヶ原林道,駒越林道,巣栗林道のダート,そして舗装路の武石峠,美ヶ原有料道路。巣栗林道 はビーナスラインと結んで舗装路となったが、不思議なことに蝶ヶ原林道、駒越林道はなぜかダートのままで嬉しいのだがOQMとしては使えない。また、南角林道はずっと前から通行止めになったままである。その状況の中で思
い出に残る美ヶ原高原を走ることにしよう。
今回はドライバーを相模原の三宅高志さんにお願いした。車は山道を快適に走れるように足回りをチューンナップしてある三菱シャリオ・グラン
ディス4WD。そして、お目付け役は矢木雅人くんである。
スタートは諏訪大社下社春宮にする。秋宮のように広くはなく、賑わいも少ないが、我
々としては利用しやすいのが嬉しい。そして脇の畑にあるのが「万治の石仏」で、これが目的の一つでもある。大きな岩に頭をのせただけの石仏だが、その発想
が素晴らしく、その姿はとてもユーモラスで楽しい。
県道199に入ると木落し坂の上に出る。諏訪大社の7年に一度の御柱祭りのクライマックスの木落しの場所である。35°の斜面というが上か
ら覗くと垂直に近い。ここを巨木と一緒に”落ちていく”というのは正気ではできない。
ODの水圧鉄管の脇の階段を矢木くんがクイズにするために
数えながら上っていったが、いくら上ってもゴールがないとギブアップした。参加者も若い人ばかりではないので・・・と言うのでキャンセルして、測るのが難
しいから面白いと鉄管の外径を問題にする。
東俣に湧き水がある。水質検査で飲料に適しているとのお墨付きで、安心して飲めるのが嬉しい。そのせいか、とても美味しかった。脇を見ると洗車 禁止の立て札があり、まだ新しい。汲みにきていた人に聞くと、この水で洗車する人がいるとのこと、
その無神経さにあきれてしまう。
ここに車巾制限1.7mの看板があった。どの地図にもその情報は載っていない。県道なのにと行ってみると、かなり上った所にポールが2本立っていた。先
行していた車が片方のポールを抜いて入っていった。見ると、そのポールは楽に抜けるようになっていて皆さんはそれで通り抜けているようです。我々としては
そのようにして通れとは参加者に要請できないのでキャンセルすることにしたが、美味しい湧き水と木落しがあるので往復してもらうことにする。
和田峠の旧道を走るが驚いたことに大きな
トラックが次々と対向する。中にはトレーラーもあった。トンネルは2003年に無料開放されるはずだったが、岡谷ICに抜ける道を作ったために2023年
まで無料開放されるのが延長されたのだ。大型トラックは1000円と1650円、これが節約できれば昼食代が出るのだ。2車線道路なので擦れ違いに問題は
ないが、初めて遭遇するとびっくりする。
和田峠付近にあったレストランなどがほとんど廃業していて、風景が荒れたように感じる。一軒だけ営業している店が
あった。大きく「黒曜石」の看板が出ているが、屋根がブルーシートで覆われていて、つぶ れ
る寸前のような感じがするが、ご主人はなかなか意気軒昂で、いろんな所から取材が来るといっていた。黒曜石は昔は小中学生が授業の一環で採石するほど採れ
たが、今は採石所から仕入れているという。水やご飯が美味しくなるという効用があるそうだ。
江戸時代の道の駅ともいうべき施設の「永代人馬施行所」が荒れ
てい
る。以前来た時はきちんと手入れされている感じだったが、今は山奥の廃村となった家という感じで、歴史のある施設が荒れ果てていくのは悲しい。
扉峠の入口にあるドライブイン和田宿は30年以上前から存在している。閉店している
ような雰囲気だったが、軽トラが止まっており電気が点いているので寄ってみたら、おばあさんがのんびりと商っていた。メニューもリーズナブルでのんびり派
には良いかも。
扉峠の道の最新の記憶はと言ってもかなり昔になる。1988年4月初旬に歌舞伎町の植木大人の新
車ブルーバード・アテーサ4WDでアタックしたが季節外れの大雪で敗退したのを思い出す。それ以来のチャレンジであったが、道は当然マイルドになってい
た。狭くて急勾配のダートは思い出の中だけになったが、扉温泉に下る道は健在で感激する。舗装はされているが道幅は昔のままで狭いがガードレールがあるので安心して走れる。が、このガードレール が無かったら、どんな気持ちになるだろうか、想像してみてください。
扉温泉には「檜の湯」という日帰り温泉ができていた。最近の温泉は地下1500mも掘るというのがほとんどで、自噴でかけ流し温泉というのは新しい温泉
では珍しい。それに入浴料300円というのは安い。敷地の入口にあるモニュメントは素朴なものだが写真で公開できないのが残念。
12図を右折して3〜400m行くとキャンプ場のレストランがある。そこのソフト
クリームのコーンカップへの盛り付け方がとてもユニークでびっくりした。250円で味は美味しいので好奇心旺盛な方は寄ってみてください。
ほとんどの地図では12図から先は時計回りの一方通行となっているが、規制の看板はなく「排気・エンジンブレーキを使用」の標識があるだけ・・・という
ことは通行可ということで安心して走る。勾配15°の標識があり、なんと緊急避難所がある。箱根ターンパイクの緊急避難所ほどのスケールではないが、他で
はほとんど見掛けないのでびっくりした。これがあるということは過去に何回も事故があったのかなと思う。現在の乗用車はほとんどがディスクブレーキなので、ブレーキが焼けて効かなくなることは無く
なったが、緊急避 難所の砂地がきちんと整備されているということは、材木を満載したトラックなどにま
だその可能性があるらしい。
途中にある「桜清水茶屋」は広い座敷の雰囲気がよい。自分で蕎麦を打つ三宅さんが合格点を出した美味しい蕎麦です。でも、山の中なのにこんなに広い店が
いっぱいになるのか余計な心配をしてしまった。
「山辺ワイナリー」も上品な雰囲気で、自家醸造のワインの種類も沢山あり、三宅さんはたくさん買い込んでいた。私は敷地内にある野菜売り場で野菜を買い
込んだ。
美ヶ原温泉から美鈴湖に上る林道は観光案内にも載っていない初めての道であった
が、とても雰囲気がよく、楽しく走れます。観光客はまず通らない道でしょう。
美ヶ原林道は有料道路だっただけに走りやすい道で、途中で眺める北アルプスの山並みを背景にした松本市街や、上
り詰める辺りでの北アルプスの展望などが見事だが、ほとんどは木々に囲まれたドライブになる。
武石峠を過ぎると高原の軽いアップダウンの道になる。71年の「ラリークリサンテーモ」では道幅
は今と同じだがダートでガードレールはなかった。駒越林道
を上って、この道から美ヶ原 林道を下り、もう一度駒越林道を登ってから、この道を通る。先行車で全部のコーナー
の手前に当時発売されたばかりの三角停止板を置いていったのだが、2回目に回ってきたら三角停止板が一枚も無かった。当時は2000円もしたのでギャラ
リーが持ち去ってしまったのだ。随分と焦ったが、さすがはトップラリーストたちで、全開で走らせたのに落ちた車が無くて、ほっとした記憶がある。しかし、
今走ってみるとガードレールがあるためか、突っ込んでしまうようなコーナーがあるようには見えなかった。なぜなのだろう。
今回のコース作成時は天候に恵まれなかったので眺望を堪能できなかったのが残念だっ
たが、久し振りの美ヶ原を走り、往時の記憶を蘇らせることができたのが嬉しかった。
ところで東側の「山本小屋」と「王ヶ頭ホテル」の間のわずか2〜3kmなのに、つながる道ができないのは何故なのか知りたいものだと思います。
|